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催眠療法コラム 2014年3月アーカイブ

解離性同一性障害について

解離性同一性障害(DID)は、精神病ではなく、神経症の一種と考えられている、かつては多重人格障害と呼ばれていた症状です。

その症状は、
①2つまたはそれ以上の、はっきりと他と区別される人格状態の存在(その各々は、環境および自己について知覚し、関わり、思考する比較的持続する独自の様式を持っている)
②これらの同一性または人格状態の少なくとも2つが、反復的に患者の行動を統制する
③重要な個人情報の想起が不能であり、普通のもの忘れで説明が出来ないほど強い
④この障害は、物質(例えばアルコール中毒時のブラックアウト、または混乱した行動など)または他の一般身体疾患(例えば複雑部分発作)の直接的な生理学的作用によるものではない
(DSM-Ⅳより抜粋)
という明確な診断基準を持ちます。

少し難しいお話になってしまいましたが、簡単に言えば、一人の人間の中に複数の人格が存在し、ある人格が体験していることを他の人格が共有出来ないので、自分が言動を起こした形跡はあるのに、その記憶が全くないといったことが日常茶飯事に起きてきてしまう症状です。また人格交代の際に頭痛やめまいが生じるのも、特徴的です。

私も心理臨床の現場で何名かの解離性同一性障害と思われるクライアントさんとお会いして来ましたが、記憶障害と極度の疲労感、自殺・他害が一番の問題となります。

自分が持って帰った記憶のない学校の備品が家にあったり、話したこともない人から親しそうに話し掛けられて困惑したり、中には結婚式の最中に人格交代し、その場から逃げ出してしまったり…といった、周りの人から見れば理解し難い体験をしながら日々を送っています。

本人も誰にも相談出来ずに「少しかわった人」と思われながら過ごす場合が多いのですが、他の主訴、例えば不眠や無気力を契機に心療内科や精神科を受診し、発覚する…といったケースが多いようです。

解離性同一性障害と診断されたクライアントさんは、そのほとんどが幼少期に筆舌にし難い虐待や喪失体験などによる心的外傷(トラウマ)を負っています。言うなればその体験から身を守る為に、無意識に体験から自分を解離させ、「なかったこと」にしてしまっている訳です。

その意味で,周りの方たちが、理解や、支えとなることは、治療上とても重要な鍵を握ります。

解離性同一性障害は、時として年余に渡る治療期間が必要となることもあります。

記憶と催眠


大切なものを無くしてしまった。記憶をさかのぼって、思いださせて欲しい。
辛い思い出を、なくしてしまいたい。

催眠療法に携わっていると、こうした記憶にまつわるご相談が度々ございます。
深い催眠状態に入りますと、記憶をなくすこともできるのですが、正確には、記憶はなくなるのではなく、より深い深層心理に封印されるだけで、なくなってしまうわけではありません。
ですから辛い思い出に関する記憶は、一時的に意識にはのぼってこなくなっても、無意識に精神的ストレスとなって身体に現れたりすることになります。
例えば、自分では辛い気持ちも、ストレスも感じてはいないのに、なぜか夜眠れなくなったり、胃潰瘍になってしまったり。
ですから、「あまり記憶をなくしてしまいたい」というご依頼があっても、はいそうですか、とご希望の通りには出来ないこともございます。

日常において、ちょっとした記憶がなくなってしまう、もしくは思い込みによって記憶が書き換えられてしまうような体験で、生活に様々な影を落としてしまうことで悩まれている方もおられます。

今までそのような体験をされている方と数多く接して来ましたが、ほとんどの場合(器質的な脳の障害を除く)、自我の防衛機制が影響しています。

自我の防衛機制に関する詳しい説明は割愛させて頂きますが、要するに「間違い」や「失敗」を受け入れたくない自分「忘れる」ことで、自尊やこう在るべき自分像を守ろうとする癖がついてしまっている可能性があります。

元来の思い込みの強さと、その自我の防衛機制(否認といいます)が相俟って、記憶障害を引き起こしているのかも知れません。

それを解消して行く為には、先ず自分は思い込みがとても強いので、間違いを起こすことが多々あるという事実を受け入れ、その時その場のリアリティをしっかり感じ取りながら、「今、ここ」を大切に過ごすことを心掛けてみて下さい。
 

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