催眠療法コラム

ダブルバインド(二重拘束性)とは?

ダブルバインド(二重拘束性)とは「相反する2重のメッセージ」のことです。

例えば、お母さんが「さあこのケーキをお食べ」と、自分が欲しそうな顔をしながら子どもにケーキを差しだす場面を想像して下さい。

子どもさんは、「食べてもいい」と「食べてはダメ」という二つの矛盾するメッセージに縛られ、どうしていいか分からなくなる…正にこれがダブルバインドなのですが、そのお母さんの意識の中には、「私は母親なんだから子どもにケーキをあげなきゃ」という考えを持つ自分と、「でも私も食べたい」と心のどこかで思ってしまっている自分がいる訳です。


人間には意識の階層があり、その違う階層から無意識的に別々の矛盾するメッセージを発してしまうのがダブルバインドをしてしまう人なので、ご本人がそのことに気づかなければ、永遠にし続けてしまうことになります。


また、ダブルバインドのメッセージを受け続けた人もまた、人にダブルバインドなメッセージを発信する癖がついてしまったり、葛藤に縛られ、自分本位での決断が出来なくなったり、後から、「あの選択をして良かったのだろうか?」と繰り返し悩んでしまう事が多くなることとなります。
自分の決断に責任を負えなくなってしまうのですね。

ダブルバインドをしてしまう方は、簡単に言ってしまえば、自己一致が出来ていない人です。

その矛盾する思いの両方を自分のものとして意識できれば、自己一致し、「お母さんと半分こしようか」と言えるのでダブルバインドは発生しないのですが、前者の「私は母親なんだから子どもにケーキをあげなきゃいけない」という倫理観念が強すぎると、後者の「私も食べたい」を抑圧し、全く自分が欲しがっているとは自覚(意識化)できなくなってしまいます。
これが自己の不一致です。

周りからはその二つの矛盾するメッセージが明確に感じられるのですが、ご本人がそのことを認め、受け入れられなければ、残念ながら直して行くことは出来ません。

ただ、以上の事を理解し、無意識にそうしてしまう方の気持ちを解ることで、ダブルバインドの犠牲にならない術を身につけて行くことは出来るのではないでしょうか?