体験談

自意識過剰の苦しみ(T.N さん 21歳女性)・・・対人恐怖/対人緊張/吃音/内向的性格

幼い頃、私はとても内気で気が弱い子供でした。小学生の頃など、みんなの前で話したり発表することはいっさいダメで、またその頃から少しドモリはじめ、これに対する恐怖がはじまりました。
中学や高校時代は、それでもかなり元気にやっていましたが、時々自分の話している言葉を意識しすぎて、ものが言えなくなり苦しい思いをしました。大学へ入り、私は意識して積極的にふるまいましたが、なかなか一つのことに集中できませんでした。特に本を読んでいる時などは、余計なことを考えて空想したり、不安になったり、いつも主観に流されていました。
そして、自分の頭の状態や意識の状態をすぐに分析しはじめるのです。自分のことだけに限らず、私は何でも分析するのが好きなのです。こんな内向的な性格が作用して、言葉に対する恐怖心が起こってしまったのだと思います。
そんなわけで私は自分を意識しすぎ、人と会話をするのが怖くてたまりませんでした。相手の自分に対する気持ちを意識しすぎるために、一緒に話しをしていても、その会話の中に入っていけないつらさ。これが私の悩み、つまり病気でした。

はじめて催眠に誘導してもらった時、これがそうなのかと思いました。と言うのは体験する前は意識がなくなる状態、つまり眠ってしまって何にもわからなくなると思っていたのです。つまり、まったく意識のないうちに何かのおまじないの言葉(暗示)を吹き込まれて、目を覚ましたらその暗示通りになっていたと……、でも違うのです。
さて私は、先生のおっしゃる通り十日連続して通いました。はじめのうちは、あまり集中できませんでした。催眠に全身を十分投入することができなかったので、誘導を受けている自分の姿が目の前にちらつきました。この段階では、まだ自分を意識していたのです。そして心の片隅で「私はこれでいいのかしら」とか「まだまだ十分ではない。本当に治るかしら。自分だけが例外なのではないだろうか。」などと、かすかながら不安や焦りがいつもつきまとっていたようです。
それでも、指導を受け通っていると、だいぶ気持ちも落ち着き、不安はしだいに無くなって来ました。そして自己催眠が出来るようになった今では、当時よりももっと心が落ち着き、この催眠療法が正しい理にかなったものであるのが良くわかりました。
ですから、私は自分の体験から多くの患者さん達やこの療法に対して不安・疑問を抱いている人達にお話ししたいと思います。

催眠とは、一口で言うならば、心と体の緊張をほぐし(多くは無意識の緊張です)一つのことだけに集中することなのです。その状態では実に快感を覚えます。はじめのうちは、誰でもこの集中ができないので、その訓練のために誘導してもらうのです。もちろんこの時、自分でその気分に浸りきる努力をするのです。はじめは、これができなかった私も、先生の指示や指導に素直に従っていくうちにできるようになったのですから、根気よくやることです。ただ、ただ、その思い(良くなる姿)に浸るのです。心身共にリラックスがなければ、集中できなくなって催眠に入れません。
通い続けてこのことを納得できるようになるにつれて、先生のおっしゃることがすんなり受け入れることができ、「なるほど、その通りだなあ。」と思うことがたくさん出てきました。そして、このように心から信頼することができる人達と話をすることが嬉しくて、毎日通うのが楽しみになりました。食事もおいしく、心からくつろぐことができるようになりました。
誰でも経験することですが、体の具合の良い時は、精神の状態も良く、頭の回転も冴えます。要するに『心と体』とは、一体のものだと言えるのです。両者は互いに作用しあっているので、体の病に薬だけで対抗しても、多少は効果があるかもしれませんが完全に治すことはできません。
治療中の注意としてまず言えることは、焦らずに、ゆっくりとした気持ちを抱き、自分を失うこともありますが、最後には必ず治ると信じることです。

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